ロンドン、2017年9月27日
− 世界銀行グループの一員で、民間セクターの開発を担う国際金融公社(IFC)は本日、企業の子育て支援に関する報告書を発表しました。この報告書によると、世界各国で従業員に子育て支援を提供している企業は、優れた人材の確保や、社員の定着率及び生産性の向上など、事業に明確な効果が得られていることが明らかになりました。
ネナ・ストイコヴィッチIFCブレンドファイナンス・パートナーシップ担当副総裁は、この報告書について次のように述べています。「男女による完全に平等な育児参加がなければ、全ての国、地域、経済において、その潜在力を最大限に引き出し、21世紀の課題を乗り切っていくことはできません。子育て支援はその解決策の一つであり、多くの企業が従業員の子育てに対するニーズを積極的に支援したいと考えている一方で、具体的な対策、どのようなメリットがあるのか、支援に関する必要な情報が不足しています。今回IFCが発表した報告書は、その情報不足による疑問を解消するものです。」
本報告書では、事業所内保育から育児手当にいたるまで、従業員に子育て支援を提供している世界の企業10社の事例を紹介しています。紹介されている企業は、南アフリカの生鮮食品メーカーAfrifresh、米国のソフトウェア開発会社Akamai(アカマイ・テクノロジーズ)、トルコの重工メーカーBorusan、日本の三菱東京UFJ銀行、トルコの自動車部品メーカーMatur、ヨルダンの衣料品メーカーMAS Kreeda Al Safi-Madaba、インドのITサービス企業Mindtree、ブラジルの食料品加工メーカーPandurata Alimentos Ltda.(Bauducco)、ケニアの通信企業Safaricom、そしてドイツの医療グループSchoen Klinikです。
今回のケーススタディの結果、子育て支援を提供している企業は、従業員の離職率の大幅な低下、就職志望者の質の向上、欠員が埋まるまでの時間の短縮、欠勤の減少により業務への集中力が高まり、モチベーションが向上することによる生産性の向上、男女格差の是正、女性管理職の増加などの成果が得られたことが明らかになりました。
支援の質を向上させ、手頃に提供できる子育て支援事業の拡充を推進していくことは、経済成長に欠かせない原動力としてさらに重要視されています。働く母親と父親が平等に労働参加することで、世帯収入は増加傾向となり、企業とその国の経済の成長にさらに大きな影響を与えることにつながります。一般的に、早期幼児教育を受けた子供は、就学後の成績も良く、生産性の高い成人へ成長するとされています。
開発途上国で雇用の90%を創出している民間セクターは、今後さらに多くのより良い雇用を生み出していくために欠かせない成長エンジンです。本報告書は、職場における男女格差の解消だけでなく、公共セクターと民間セクターが協力し、子育て支援事業の市場を創り出す連携の形を示すことも含め、IFCが従来の事業の枠を超えて取り組む幅広い活動の一つです。
IFC
について:
世界銀行グループの一機関である
IFC
は、途上国の民間セクターへの支援に特化した世界最大規模の国際金融機関です。世界の
2,000
以上の民間企業との協力を通じて、
IFC
は、資金、専門知識、影響力を行使することで、極度の貧困を撲滅し、繁栄の共有を促進できるようにするための支援を行っています。
2017
年度には、途上国の人々の生活向上と世界でも緊急な開発課題への取り組みにおいて約
193
億ドルの資金を提供しました。詳細についてはウェブサイト(
www.ifc.org
)をご覧ください。