ヨルダン、アンマン、2018年1月16日
- 世界銀行グループの一員であるIFCは、ヨルダンにおいて最大規模となる太陽光発電所整備事業に対して、1億8800万ドルを上限とする融資パッケージ契約の主幹事として取りまとめを行いました。本事業は、拡大する難民危機を一因として増加する同国のエネルギー需要に対して、再生可能エネルギー事業への投資を推進する一連の取り組みにおける最新の案件となります。
本事業の融資パッケージは、Masdar Abu Dhabi Future Energy Company(マスダール社)が開発する248MWのBaynouna太陽光発電所を対象とし、IFCの自己勘定による5400万ドルに加え、国際協力機構(JICA)からのパラレルローンを含むその他のシニアレンダーからの協調融資1億3400万ドルで組成されます。なお、本事業は、JICAの中東地域における民間のプロジェクトファイナンス案件に対する投融資としては初めての案件となります。その他のレンダーとしては、IFC Bレンダーとしてオランダ開発金融公庫(FMO)と欧州アラブ銀行、パラレルレンダーとして石油輸出国機構国際開発基金(OFID)とドイツ投資開発公社(DEG)が参画します。
今回の融資について、マスダール社CEOのMohamed Jameel Al Ramahiは次のように述べています。「Baynounaを支援する金融機関の多様性は、IFCが新興国の民間セクター支援において60年以上培ってきた素晴らしい実績と、最高レベルのソリューション提供に対するIFCの強いコミットメントを見事に表しています。また、アジア、欧州、中東の金融機関から幅広い支援が得られたことは、ヨルダンを含む中東・北アフリカ地域における商用再生可能エネルギー事業に対する世界的な関心の強さを物語っています。」
本事業で新たに整備される発電所は、ヨルダンにおける従来の電力コストを大きく下回る価格で電力を供給するため、同国における長期的な発電コスト低減につながります。
IFCの中東・北アフリカ地域担当局長であるMouayed Makhloufは、次のように述べています。「再生可能エネルギーは、中東・北アフリカ地域に限らず他の地域においてもIFCの重点分野となっています。IFCはこれまでに複数の重要なプロジェクトへの投融資を行い、再生可能エネルギー分野への民間投資の促進、先進的な投融資モデルの開発に取り組んできました。IFCは、ヨルダンにおけるエネルギー需要増加への対応、再生可能エネルギー分野への投資促進に今後引き続き取り組みます。」
IFCは、ヨルダンの発電・配電セクターにおいてこれまで13件、総額3億ドル以上の投融資を実行し、10億ドルを超える民間資金の動員に貢献しています。
IFCは2013年にヨルダン初の商用再生可能エネルギー事業となったTafila風力発電所整備事業(117MW)にて財務アドバイザーと主幹事を務めました。2014年には、再生可能エネルギー分野を対象とする新しい融資プログラム「Seven Sisters」を発表しました。同プログラムは、中東・北アフリカ地域では当時最大規模となる民間セクター主導の太陽光発電開発事業で、ヨルダンにおける初期の太陽光発電開発事業7件に合計2億1000万ドルを調達する支援を行いました。また、2016年には、FRV社による初のMafraq I Solar PV事業(50MW)、ACWAがスポンサーとなるZarqaガスコンバインドサイクル火力発電所整備事業(485MW)への融資契約をそれぞれ締結しました。
IFCについて
世界銀行グループの一員であるIFCは、途上国の民間セクターに特化した世界最大の国際開発金融機関です。世界の2,000以上の民間企業との協働を通じて、IFCは、資金、専門知識、影響力を駆使することで、世界の最も困難な地域において市場を拓き、機会を創るための支援を行っています。2017年度には、途上国の人々の生活向上と世界でも緊急な開発課題への取り組みにおいて約193億ドルの資金を提供しました。詳細についてはウェブサイト(
www.ifc.org
)をご覧ください。
マスダール社について
マスダール社は、アブダビを拠点とする再生可能エネルギー企業で、クリーンエネルギー技術・ソリューションの開発・商業化・普及を推進することで、現行の化石燃料経済と将来のエネルギー経済の橋渡し役を担っています。同社は、アブダビ政府の戦略的投資会社であるMubadala Investment Companyの完全子会社で、アラブ首長国連邦政府のエネルギーと水の将来に対する長期的ビジョンの実現を目指しています。