インド、デリー、2017年9月5日
‐世界銀行グループの一員である国際金融公社(IFC)は、Power2SME社の株式に1,000万米ドルの出資を行いました。これにより、中小企業が大量注文をすることで原材料を低価格で購入でき、無担保で運転資金を借りられるようにする同社の電子商取引プラットフォームの事業拡大を支援します。
Power2SME社は、中小企業向けのB2B(企業間)電子商取引においてインドを代表するリーダー企業で、事業規模はライバル企業に5倍ほどの差をつけていると試算されています。IFCは投資だけでなく、事業のコンサルティングも行い、現在14州で展開している事業のそれ以外の州への拡大や、パートナーの銀行を増やして中小企業に運転資金を提供する能力の強化、さらにプラットフォームのユーザー数を今後5年で10倍に増加させることなどを支援していきます。
Power2SME社は、カラーリ・キャピタル(Kalaari Capital)、アクセル・パートナーズ(Accel Partners)、インベンタス・キャピタル(Inventus Capital)などのベンチャー・キャピタルの支援を受けて事業を展開しています。2015年後半には、Nandan Nilekani氏が自身の投資を通じて戦略的アドバイザーに就任し、経営に参加しています。
Power2SME社の創業者でCEOのR Narayan氏は、次のように述べています。「IFCの中小企業に対する投融資や、銀行、金融機関との強力なネットワークを生かした中小企業のサポートにおける豊富な経験は、中小企業を投融資先として信頼ある存在に高めるという私たちのビジョンの実現を支援してくれる存在です。」
インド経済の大部分は、中小零細企業が構成しており、実に工業生産高の45%、および輸出額の40%を占めています。インド全体で4,880万の中小零細企業が事業を行っており、1億1,100万人を雇用しています。インドでは中小零細企業への長期資金貸出が絶対的に不足しているというのが大きな課題で、一部では5,000億ドルの需要に対し3,200億ドルが不足するという試算もあります。インドは中国に次いで世界で2番目に中小企業の数が多くありながら、中国の中小企業は、中国GDPの60%を構成しているのに対し、インドの中小企業は、インドのGDPの8 – 10%程度にとどまっているのが現実です。
IFC のベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ南アジア地域担当責任者のRuchira Shukla は、次のように述べています。「IFCのPower2SME社への投資により、今後さらにベンチャー・キャピタルがインドの中小企業に注目していくでしょう。このことが、世界の製造拠点のハブを目指すインドのビジョン実現に向けて後押しとなるでしょう。」
IFCは、スタートアップ企業(ベンチャー企業)に対し、株式の直接投資、あるいはベンチャー・キャピタルファンドのリミテッド・パートナーとして投資を行っています。私たちが投資対象として焦点を当てている分野は、コンシューマー・インターネット(consumer internet)、エデュテック(edutech)、ヘルステック(healthtech)、クリーンテック(cleantech)、そしてB2B電子商取引です。
IFCは、今までもインドの中小企業を対象にして投融資を行ってきた草分け的な機関投資家の一つで、伝統的なセクターをアナログからデジタルへ移行するプラットフォームを開発する企業を支援してきました。中小企業がさらに融資を受けやすくなるように、これまでにインド国内の金融機関を通じて10億ドル近くを投融資してきました。1956年の設立から、IFCはインドの400社以上の企業へ投融資を行い、民間セクターに170億ドルの資金を提供しています。
IFCについて:
世界銀行グループの一機関であるIFCは、途上国の民間セクターへの支援に特化した世界最大規模の国際金融機関です。世界の2,000以上の民間企業との協力を通じて、IFCは、資金、専門知識、影響力を行使することで、極度の貧困を撲滅し、繁栄の共有を促進できるようにするための支援を行っています。2016年度には、途上国の人々の生活向上と世界でも緊急な開発課題への取り組みにおいて約190億ドルの資金を提供しました。詳細についてはウェブサイト(
www.ifc.org
)をご覧ください。
|
Power2SME社について
Power2SME社は、インドで最初の中小企業のための“Buying Club”として2012年に創業し、現在インド国内7拠点から14州で事業を行っており、現在250人の従業員が勤務しています。中小企業が5万社ほど商業登録されているインドのビジネス環境の中で、中小企業が大企業と競争できる価格で原材料を調達できるようにし、同時にこれまで以上に低い金利で融資も受けられるようにすることで、中小企業経営の効率性、利益性を高めるインドNo.1のデジタルエコシステムの構築を目指しています。製品ポートフォリオとしては、原材料、資金、間接材の3つを調達する上での問題を解決するプラットフォームを揃えています。まずは、原材料のBuying Clubとして( Power2SME.com)、中小企業が最もよく使う原材料(鋼鉄、化学製品、ポリマー、紡績糸など)を中小企業の総需要を計算してまとめて大量に調達し、大企業と十分に競争できる価格で中小企業に提供しています。2つ目のプラットフォーム(FinanSME.com)は、各企業が必要とする運転資金を、銀行、ノンバンクなど最も適した金融機関から、より良い金利条件で受けられるよう、リスト化された金融機関と企業をつなぐ機能を果たしています。3つ目は、産業用生産材をよく使う買い手側の、また、より多くの顧客を獲得しより幅広い市場にビジネスを広げたい売り手側業の中小企業のMROニーズの問題を解決するワンストップショップとしてのプラットフォームです(SMEShops.com)。